ECサイトへ掲載する商品写真は重要な役割を果たします。「商品画像は、加工作業も大事!この点に注意すればOK!」の記事でも取り上げたとおり、「利用シーンを想像させる写真」、「商品の色・デザイン・サイズ感が正しく伝わる写真」、「セールスポイントをキャッチコピーとして補足」していることがポイントです。そこで今回は、これらの点をクリアした商品画像を作るためにフォトショップで使える簡単なテクニックをいくつかご紹介していきます。
フォトショップの代表的な写真編集方法〜基本編〜
まずはフォトショップで使える写真編集のなかから基本的なものをご紹介していきましょう。どの方法も商品画像を編集するうえで利用頻度の高いテクニックであるため、しっかりと押さえておくことが必要です。
切り抜き
背景色を白抜きに変える場合などに多用されるのが切り抜きです。また、写真編集を行う際にもっとも基本となるテクニックであり、決して作業も難しくないためぜひマスターしておきましょう。一口に切り抜きといってもさまざまな方法があり、今回は2つの方法をご紹介します。
自動選択ツールでの切り抜き
商品と背景の色がくっきりと分かれている場合は自動選択ツールを使った切り抜きがもっとも簡単です。手順は以下の通りです。
- 右側メニューの中にある「自動選択ツール」を選択し、商品画像ではない背景部分をクリック
- 上のメニューバーにある「編集」のなかの「消去」を選択
ペンツールでの切り抜き
商品と背景色の境界線があいまいな場合に便利なのがペンツールです。自動選択ツールでうまく切り抜きができない場合はペンツールを使った方法で試してみるのも良いでしょう。手順は以下の通りです。
- 左側メニューの中にある「ペンツール」を選択し、「シェイプ」「パス」「ピクセル」の中から「パス」を選択
- 商品画像の境界線をポイントで囲む
- 右下のレイヤーの中にある「パスを選択範囲として読み込む」をクリック
- 上部メニューバーにある「選択範囲」から「選択範囲を反転」
- 上部メニューバーにある「編集」から「消去」をクリック
写真に文字を追加する
商品画像に欠かせないのが文字の入力です。セールスポイントや価格などをワンポイントとして入れるために必須のテクニックですが、今回はフォトショップでもっとも基本的な方法をご紹介します。また、楽天市場でのサムネイル画像に使用する際には「テキスト占有率20%以内」というガイドラインがあるため、これをクリアするための作り方も併せてご紹介しましょう。
文字入力
- ツールパネルの文字入力ツール(Tのアイコン)を選択し、任意の文字を入力
- フォント、サイズ、カラーなどを指定
- 文字列をドラッグして任意の場所に移動
グリッドの表示
楽天市場のサムネイル画像として使用する場合、「テキスト占有率20%以内」というルールが設けられています。これに対応するためには、グリッド線を使うことで正確な占有率を割り出すことができます。入力した文字が少しでもグリッドにかかっていれば占有とみなされるため注意しましょう。
- 上部メニューバー「Photoshop」から「環境設定」を選択、「ガイド・グリッド・スライス」をクリック
- グリッド線と分割数を調整し、写真全体に10×10のグリッド線を引く
選択範囲を消す(塗りつぶし)
商品画像や背景のなかに不要なものが写り込んでいた場合、写真を撮り直すことなくフォトショップで簡単に編集が可能です。いつの間にか写り込んだホコリやゴミなど、写真の微調整にも幅広く対応できるテクニックです。複雑なデザインの商品や背景色には活用できないケースもありますが、ぜひ覚えておきましょう。
塗りつぶし
画像の一部を消去する方法として基本的なものが塗りつぶしです。
- 投げ縄のアイコンをクリックして選択範囲を指定
- 上部メニュー「編集」から「塗りつぶし」を選択
- 「コンテンツに応じる」を選択
パッチツール
塗りつぶし以外に使えるもう一つの方法が「パッチツール」です。
- 左側メニューから「パッチツール」を選択
- 選択範囲を指定
- 同化させたい色の部分にドラッグ
写真をぼかす(ぼかし加工)
雑貨や小物類、ジュエリーなど、高級感を演出したいときに有効な「ぼかし加工」。一眼レフのような本格的なデジカメを持っていなくても、フォトショップであれば編集によってぼかし加工を加えることができます。自然背景で商品画像との境界線がはっきりとしている場合に有効な方法です。
ぼかし加工
ぼかし加工を加えるうえで、商品から遠い部分はぼかしを強く、近い部分は弱くすることを心がけましょう。このルールが崩れてしまうと、不自然な商品画像となってしまうため注意が必要です。カメラに詳しくない方であっても、ぼかしの加工テクニックを覚えておくだけで高品質な商品画像を作ることができます。
- 「クイック選択ツール」で商品画像を選択
- 「選択範囲」から「選択範囲を反転」を選択
- 「フィルター」から「ぼかし(ガウス)」または「ぼかし(レンズ)」を選択
※商品の輪郭にぼかしを入れずに引き立たせる場合は「ぼかし(レンズ)」がおすすめです。
斜めに傾いた写真の補正(レイヤーの角度補正)
商品写真を撮影する際に正しく撮ったつもりでも、全体の構図が斜めに傾いてしまっていることがあります。このような場合もフォトショップの編集によって簡単に補正することができます。モデルを着用させての商品撮影を行った場合など、撮り直しがきかない場合にも使えるテクニックではないでしょうか。
レイヤーの角度補正
傾いた写真を補正するには「レイヤーの角度補正」というフォトショップの機能を使用します。
- ツールバーのなかから「ものさしツール」を選択
- 写真全体の傾きに沿いながらドラッグ
※ドラッグする長さに指定はありません - 「レイヤーの角度補正」を選択
- 「切り抜きツール」を選択
- 角の空白が見えなくなるまで内側にドラッグ
フォトショップの代表的な写真編集方法〜応用編〜
フォトショップで使える基本的な写真編集のテクニックをご紹介してきましたが、ここからはより便利に使える応用編を取り上げていきましょう。「そんなことまでできるの?」というフォトショップの便利な機能が満載のため、アイディア次第で高品質な商品画像を作ることができるはずです。それでは早速ご紹介していきます。
人物の肌を補正する
アクセサリーやアパレル商品をモデル着用のうえで撮影した際に便利なテクニックです。肌のくすみや質感などによって商品のイメージも左右されることがあります。そんなときには、コピースタンプツールやスポット修復ブラシツールなどを使った手法が便利です。
コピースタンプツール
ニキビやくすみなどがある特定のポイントに他の一部分を持ってきて貼り付けるという方法です。単純に元のデータを貼り付けるだけなので、写真によっては不自然な印象になる可能性もあります。マクロ撮影時などの解像度の高い写真を補正する場合には適しているのですが、人物全体を撮影した場合などの場合は次にご紹介するスポット修復ブラシツールがおすすめです。
- ツールボックス内にある「コピースタンプツール」を選択
- ブラシの太さを選択
- Altキー(Macの場合はOptionキー)を押しながらサンプル部分をクリック
- 消去したい場所までドラッグ
スポット修復ブラシツール
コピースタンプツールと並んで代表的なレタッチの方法がスポット修復ブラシツールです。コピースタンプツールに比べて適度な補正がかかるため、より自然に近い補正が可能。解像度の高い写真に使用すると修復箇所の境界線がはっきりと分かってしまうため、顔全体が写っているような写真の編集におすすめです。
- ツールボックス内にある「修復ブラシツール」を選択
- オプションバーでブラシの大きさを選択
- 修復する箇所をクリックまたはドラッグ
特定部分の色を替える(色の置き換え)
たとえば色違いの服が複数あり、色を入れ替えた写真を複数作りたい場合に便利なテクニックです。商品画像を編集するうえで商品の色合いやデザインを正確に伝えることは何よりも重要なことです。もちろん、全ての色の商品を撮影することがベストな方法ではありますが、撮影の時間がなかったり予算が限られている場合に役立つテクニックといえるでしょう。
- メニューの中の「イメージ」から「色調補正」を選択し、「色の置き換え」をクリック
- スポイトのアイコンをクリックし、色を置き替える部分をクリック
- 「色の置き換え」のウインドウの中で色を調整
斜めに撮られた写真を正面に変える(遠近法の切り抜きツール)
商品のパッケージに記載されたデザインなどをそのまま写真にする際に、斜めの角度から撮られた写真であっても正面から映っているように補正する方法です。パッケージ写真を取り直す必要もなく、パソコンやタブレットに表示されたページなどにも応用できるテクニックです。
- 切り抜きツールの中にある「遠近法の切り抜きツール」を選択
- 斜めに写った部分の4隅をクリック
- Enterを押下
最後に
今回はフォトショップで使える商品画像編集テクニックをいくつかご紹介してきました。もちろん、今回取り上げたものはごく一部であり、まだまだフォトショップには便利な機能が数多くあります。まずは今回取り上げた機能をマスターすることで、高品質な商品画像の編集テクニックは一通り身につけることができるはずです。冒頭にも触れましたが「利用シーンを想像させる写真」、「商品の色・デザイン・サイズ感が正しく伝わる写真」、「セールスポイントをキャッチコピーとして補足」という3点のポイントを念頭に置きながら、質の高い商品画像を作れるように取り組んでみてください。