ECで顧客ロイヤリティを上げる方法

ECで顧客ロイヤリティを上げる方法

EC運営に限らず、小売業を営むうえでユーザーとの信頼関係は必要不可欠なものです。適切な信頼関係を構築していくことによって、顧客からのクレームを未然に防止できるだけではなく、安定的な売り上げ確保にもつながっていきます。今回は、ECを運営していくうえで顧客ロイヤリティを上げるためにどのような方法が有効なのかを詳しく紹介していきます。

顧客ロイヤリティとは何か?

顧客ロイヤリティ

そもそも顧客ロイヤリティとは何なのでしょうか。「ロイヤリティ」という言葉を直訳すると、日本語で「信頼」「愛着」といった意味になります。すなわち、自社の商品を購入した顧客がどの程度満足し、その後も愛着をもって利用し続けてもらえるかを示す指標です。顧客満足度と近い考え方ではありますが、単に満足をするというよりはさらに強い結びつきをもち、長年のファンになるといった意味が含まれています。

しかし、一口に「満足した」という感想を持ったとしても、その裏にはさまざまな要素があるものです。商品の高い品質に満足したのか、手頃な価格に満足したのか、またはショップの対応に満足したのか、顧客によって感じ方はさまざまです。

仮に届いた商品に初期不要が発生し、すぐに壊れてしまった場合であっても、ショップが迅速に対応できれば顧客ロイヤリティは向上します。また、商品の価格は多少高いと感じていても、他の商品にはない高い品質のものであれば顧客は「良い買い物ができた」と感じ、納得できるものです。

このように、顧客ロイヤリティとは一つの項目だけを見て判断するのではなく、複数の項目を総合的に見て判断されるものといえます。

顧客ロイヤリティが重要な理由

なぜECサイトへ出店する多くのショップは顧客ロイヤリティを重視するのでしょうか。今回は3つのポイントをピックアップしてみます。

リピート客の増加

ECサイトと実店舗との大きな違いは、まず対面で販売するか否かというポイントがあります。ECサイトを利用する顧客の中には、店頭でスタッフから声を掛けられることを嫌うユーザーも多いですが、決して顧客ロイヤリティと無関係ではありません。コミュニケーションが苦手な人であっても、対応に不手際があったり横柄な対応をされてしまうと、当然のことながらそのショップを二度と利用することはなくなってしまいます。人と人とが直接コミュニケーションを取らなくても、真摯な対応はECのショップであっても顧客に伝わるものです。

顔の見えない相手だからこそ、真摯な対応を心がけていれば自然とリピート顧客をつかみ、安定的な売り上げにつながっていきます。

SNSでの口コミ

SNSでの口コミ

ECサイトのユーザーは普段からインターネットを活発に利用しているユーザーが多く、SNSとの親和性も高い傾向にあります。あまりにも対応が悪かったり、劣悪な品質の商品を販売していたりするとSNSで悪評が広まってしまいます。そのようなSNS上での風評被害を防ぐためにも、顧客に対して真摯に向き合う姿勢は重要といえます。

また、他社にはない個性的な商品を販売している場合は、自社で広告費をかけずともSNSで拡散され新規顧客を獲得できる強みもあります。

利用単価のアップ

顧客ロイヤリティが重要な3つ目のポイントとしては、利用単価のアップが挙げられます。異なるECサイトのショップで一点単位で商品を購入するよりも、同じショップでまとめて複数の商品を購入したほうが送料も安くなり、受け取りの手間が減るメリットがあります。

同じ商品を購入するのであれば、顧客対応の良いショップを選ぶのは当然のこと。仮に他社のショップよりも数十円、数百円程度高かったとしても、まとめて購入する顧客を取り込むことにつながり利用単価アップを達成できます。

顧客ロイヤリティを上げる方法

顧客ロイヤリティの向上はショップの売り上げや収益に密接に関わる重要なポイントであることが分かっていただけたと思いますが、実際に顧客ロイヤリティを上げるためにはどのような方法が有効なのでしょうか。

速いレスポンスで顧客に安心感を与える

ECサイトに商品を出品していると、さまざまな問い合わせが顧客から届きます。商品の仕様や価格、在庫、送料などが代表的な内容ですが、これらの問い合わせに対してできるだけ速いレスポンスを心がけるのがもっとも基本的なことといえます。

仮に今すぐに返答が難しい内容であったとしても、問い合わせを確認したという旨の返信をするだけでも顧客は安心します。返答に時間がかかるようであれば、可能な限りいつ頃の返答になるのかを案内するだけでも印象は違うはずです。

対応漏れを防ぐ

納期の遅れや発送漏れ、メールの返信漏れなど、基本的な事柄がきちんとできていれば顧客ロイヤリティが低下することはほとんどありません。しかし、人間である以上は失敗したり忘れてしまうことも十分考えられます。そのようなことを防ぐためにも、確実に対応漏れをなくす仕組み作りが必要です。

納期を守り発送漏れをなくすためには、できるだけ人の手による作業をなくし、自動化・システム化することが有効です。商品名や商品コードでの管理ではなくJANコードとバーコードリーダーを使用したり、宛名は専用のプリンターで印字するなど、コストをかけてでも可能な限り自動化することが重要です。

また、メールの対応漏れを防ぐためにはメールボックスを整理して対応すべきものを分け、定期的に対応漏れがないかを複数人で確認することも有効な方法といえるでしょう。

顧客に特別感を意識させる

2つ目の方法は、顧客に対して「自分だけは特別」ということを意識させることです。もっとも簡単な例でいえば、メールを返信する際の宛名に「お客様」という言葉ではなく、「○○様」と名前を入れることが挙げられます。いわゆるテンプレートのメールではなく、自分のために時間を割いてくれているということを意識させるだけで、顧客が抱く印象は変わってきます。

また、顧客情報から誕生日が近くなったらメールなどで案内をしたり、過去に購入した商品の使い心地や新商品の提案、割引きセールを案内することも有効な方法です。

ショップのなかには、一定期間で購入した金額のランクによってアプローチを変える場合もあります。いわゆる「VIP会員」のような特別感を打ち出すことによって、追加の商品オーダーにつながるケースも少なくありません。

特別感を意識させる方法に明確な正解はなく、必ずしも価格に反映させる必要はありません。問い合わせをいただいた際の言葉遣いだけでも特別感を出すことは可能なため、少しの意識で実行できる方法でもあります。

顧客の声に真摯に耳を傾ける

顧客の声に耳を傾ける

ECでのショップ運営では必ずしも顧客から良い評価をいただけるものではありません。時にはお叱りや要望を受けることもあるでしょう。もちろん、自社の不手際によって顧客に迷惑をかけたのであれば真摯に謝罪し、必要に応じて返金やキャンセルなどの対応をとらなければなりません。

しかし、問題なのが物理的に不可能な要求や要望をいただいたときの対応です。商品の仕様上どうしても対応できないケースの場合、顧客がどのポイントに不満を抱いているのかを適切に把握することが求められます。仮に現在のルールや方法で対応することが無理であったとしても、そのような不満を抱える顧客が今後出てくることを想定したうえでどう解決するのかを考える必要があります。

顧客の要望に真摯に耳を傾け、解決すべき課題として認識することから始めてみましょう。

商品画像を充実させる

ECサイトは実物を手にとって見ることができないからこそ、商品画像を充実させ、商品の特徴を確認できるような仕組みを考えることが求められます。たとえばシューズやキャップなどのアパレル小物商品の場合、特定の方向や角度からの商品画像だけではデザインがイメージしづらいものです。複数の角度から撮影された商品画像が充実していると、顧客は商品の実物をイメージしやすくなります。実物とイメージ画像がかけ離れているとクレームに発展しやすくなり、顧客ロイヤリティも低下してしまうおそれがあります。

最近では360度撮影によって商品を自由な角度から確認できる商品画像もあるため、検討してみてはいかがでしょうか。

顧客ロイヤリティはショップの安定的な売り上げ実現のために重要

今回紹介してきたように、顧客ロイヤリティをアップさせることはECを運営するショップの売り上げや利益にも直結する大きなポイントです。

商品の品質や価格はもちろんですが、ショップの対応品質やECサイトに掲載する画像にも顧客ロイヤリティ向上の秘訣は隠されています。今回の内容を参考にしながら、自社にとって最適な方法で顧客ロイヤリティ向上を目指してみてはいかがでしょうか。